序章・・・ギターは愛すべき奴なのです | |
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少し低めの椅子に腰掛けて、その前に足台をセットする。
ここ数年愛している「コダイラ・クラッシックギター」を
ケースからおもむろに取り出して、左足のうえにのせて
ギターを抱え込む。
左右の指の動きを確かめた後そっとつま弾く・・・・。
そう、あの名曲「禁じられた遊び」。
映画「禁じられた遊び」のテーマ曲として「ナルシソ・イエペス」が
奏でたスペイン民謡。この映画は反戦映画の傑作。
5歳の少女ポーレットを演じた「ブリジット・フォッセー」の可憐さが
涙を誘う・・・。
弾き終わってふと想う・・。
「何回この曲を弾いたことだろう・・。」
初めて弾いたのはもう二十年以上前のこと。
当時フォーク少年だった私も、この曲は練習した。
いつ弾いても、簡単なようで実は大変に難しい。
初心者のギター教本にも掲載されていたり
ある学校では音楽の授業に取り入れていたりで
初心者向けと想われている。
現に左手が指一本で前半は押さえられるので簡単なようだが
中間部の難しさはもちろんのこと
実はメロディを綺麗に奏でるのはかなり困難。
プロのクラッシックギタリストもレコーディングレパートリーに入れているほど。
中級クラスの曲なんです。本当は・・・。
この曲を弾くと、ギターの奥深さをいつも感じるとともに
自分のギター史も振り返ることが出来る。
「そういえば、何でギターを始めたんだろう・・・。」
そう思いながらも、もう一度「禁じられた遊び」を弾くと
さっきとはまた違う演奏になった。
さらにもう一度「禁じられた遊び」を弾くと
家の外で
「・・・・是非、わが党をお願いします!・・・」
と選挙カーが・・・。
「そうか、もうすぐ選挙か・・。」想わず演奏中断。
さらに気を取り直して弾くとなんと・・・弦がきれた!
そういえばここのところ弦を変えていなかった!
あわててストックの弦をさがしてみたがなんと・・・ストックがない!
弾きたくても弾けない!
なんと罪深い奴だ。ギターは。
でも愛すべき奴。
「そうだ、弦と一緒にワックスを買ってきて久しぶりに磨いてあげよう・・・」
映画「禁じられた遊び」の幼いポーレットとミシェッルの無垢な会話ような
ギターと私の「禁じられた遊び」を再開する為に
早秋の街へ出掛けて行ったのでした。
・・・・・・・・・・。
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